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S-access Japan 代表挨拶

“医療現場にある暗黙知を客観的な指標へ”

S-access Japan 代表

伊藤 雅昭

国立がんセンター東病院が取り組むのは、世界で初となる “医師の暗黙知のデータベース” の構築です。ここ数年で先端医療の臨床導入が大きく加速していますが、どのように先端医療を実践することが解なのかをデータ化すれば、日本を発端に世界中の医療を変えていくこともできるはずです。本取り組みをきっかけに、日本の技術を世界に大きく広めていきたいと考えています。

暗黙知を可視化し、業界全体の医療水準向上へ

内視鏡手術は、患者に与える負荷を減らして術後の早期回復を見込むことができる点から大きく注目されましたが、手術の難易度が高く、臨床導入から 30 年ほど経過した今でも、内視鏡手術を担当できる医師は、そう多くはいません。新たな技術は医療を変える力を持っていますが、適切にこれを取り扱うことのできる人材を増やさなければ、業界全体の医療水準を高めていくことは叶わないのです。

医療現場には数多くの技術・知識が暗黙知として存在していますから、これを客観的な指標へと落とし込んで人材教育に適用していくことが不可欠だと考えています。

暗黙知のデータベース構築へ

例えば、内視鏡手術の映像データを基にして『手術工程』、『使用術具』、『処置内容』などを意味付けするデータを用意すれば、”術具をどのように動かした時に出血が起きたか”、”成功した手術における処置にはどのような傾向があるか” といった情報を定量的に示すことができます。

国立がん研究センター東病院では、”医師の暗黙知のデータベース” とも呼ぶべきこのデータを収集し、持続可能な運営体制の構築を目指しています。この取り組みの先には、日本全体の医療水準を高め、手術の半自動化も実現していけると強く信じています。